「四座講式」現代語訳と解釈に際して

 今回四座講式を現代語訳し解釈するにあたって、底本として大栗道栄師編の「四座講式」を用います。また大正新脩大蔵経テキストデータベースの「四座講式」を参考にします。

 大栗師の『四座講式物語』を参考にしますが、師の訳はなるべく平易にわかりやすくつとめられています。私はなるべく原文に忠実に字句を釈していきますので宜しくお願いします。参考文献は以下の通りです。

・大栗道栄『四座講式物語附四座講式本文』 大日寺刊行会 1989年
金田一春彦金田一春彦著作集 第五巻 四座講式の研究』 玉川大学出版部 2005年
・竹林史博『絵解き涅槃図』 青山社 2009年
中村元『仏教語大辞典』 東京書籍 1875年
・鎌田茂雄『華厳の思想』 講談社学術文庫 1988年初版発行 2009年
海音寺潮五郎『人生遍路 華厳経』 河出書房新社 1957年法蔵館より初版発行 2003年
密教辞典編纂会『密教大辞典』 法蔵館 1931年初版発行 2007年
諸橋轍次大漢和辞典』 大修館書店 1950年初版発行 1976年

 さて、私は学生時代から歴史学と宗教について学び、特にこの「四座講式」には格別の思いがありました。四座講の祖師明恵上人の余りにも強烈で純粋な個性と信仰、そして高い文学的素養…いつかこの「四座講式」を現代語として紹介したいと思っていました。
 しかしせっかくの明恵上人の恋慕のこもった講式を私のような浅学の徒が釈することは、美文を汚すことになるのではないかという思いがありました。

 古来仏典を講釈誦経し、十方に流布することは佛徳を讃揚する浄業とされ、先徳はその身命を賭して浄業に尽くされました。現代はネットという十方流布に便利なツールがありますので、ぜひこの素晴らしい四座講式を拙いながらも紹介できれば、今まで頂いた御縁に対する報恩謝徳になるかなぁと思った次第です。長い道のりになりますが根気強く続けていきます。

四座講式本文http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/searchdiary?word=%2A%5B%BB%CD%BA%C2%B9%D6%BC%B0%CB%DC%CA%B8%5D