四座講式本文

涅槃講式 第五段 廻向段

≪ 原 文 ≫ 第五に発願廻向といっぱ、願わくは、この恋慕渇仰の善根(ぜんごん)をもって、必ず見仏聞法(もんぼう)の大願(だいがん)を成就せん。 それ仏に出没(しゅつもつ)なし。隠顕は縁に従う。閻浮界(えんぶかい)の中には入滅の化儀を示せども、他…

涅槃講式 第四段 そのニ

「涅槃講式 第四段 その一」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20120130/1327908075≪ 原 文 ≫ 今、双林涅槃の像を拝見するに、如来頭北面西にして臥し、大衆前後左右に遶(めぐ)れり。師子虎狼、猛悪の威を収め、菩薩声聞、悲啼の貎を低(た)れたり。 先づ瞻…

涅槃講式 第四段 その一

≪ 原 文 ≫ 第四に双林の遺跡(ゆいせき)を挙ぐといっぱ、我等滅後の悲(かなしみ)に泣く。何の時にか見仏の幸に咲(え)まん。哀悲の剰(あまり)に、嫉(そねみ)を中天の禽獣に懐き、恋慕の至に、恨を辺地(へんじ)の人身(にんじん)に遺(のこ)せり。…

涅槃講式 第三段 その二

「涅槃講式 第三段 その一」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20110529/1306674252≪ 原 文 ≫ 鞞瑟(びしゅ)長者不滅度際の法門の体(たい)を説いて云く。普く十方一切世界去来今(きょらいこん)の仏を見るに、涅槃したもう者なし。衆生を化する方便の滅度…

涅槃講式 第三段 その一

≪ 原 文 ≫ 第三に、涅槃の因縁を挙ぐといっぱ、夫如来は般若の翅(つばさ)を扇(あお)いで、生死(しょうじ)の雲を払(はろ)うと雖も、大悲の鏁(くさり)に縈(まつわ)れて、未だ衆生の手を免れたまわず。火宅に還って嬉戯(きけ)の稚子(ちし)を誘…

涅槃講式 第二段 その二

「涅槃講式 第二段 その一」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20110412/1302616164≪ 原 文 ≫ 時に大迦葉(だいかしょう)、荼毘の所に至るに、聖棺自然(じねん)に開(ひら)けて、千帳(せんちょう)の白氎(びゃっじょう)及び兜羅綿(とらめん)、皆解散…

涅槃講式 第二段 その一

≪ 原 文 ≫ 第二に荼毘の哀傷を挙ぐといっぱ、青蓮咲(えみ)を止(や)め、菓唇息絶えし時、白氎(びゃっじょう)に纏絡(でんらく)し、金棺に収斂す。 一切の大衆(だいしゅ)、聖棺を挙げて、城(じょう)の内に入らんとするに、十六の極大力士(りきじ)…

涅槃講式 初段 その四

「涅槃講式 初段 その一」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20110330/1301491947 「涅槃講式 初段 そのニ」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20110401/1301660527 「涅槃講式 初段 その三」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20110403/1301806825≪ 原 文 ≫ 青蓮…

涅槃講式 初段 その三

「涅槃講式 初段 その一」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20110330/1301491947 「涅槃講式 初段 そのニ」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20110401/1301660527≪ 原 文 ≫ 漸く中夜に属(しょく)して、涅槃時到れり。満月の容(こおばせ)に哀恋の色を含み、…

涅槃講式 初段 その二

「涅槃講式 初段 その一」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20110330/1301491947 「涅槃講式 初段 そのニ」http://d.hatena.ne.jp/kuzanbou/20110401/1301660527≪ 原 文 ≫ 遂に則ち、力士生地娑羅林の間にして、面門の光を二月十五の朝(あした)に放って、最…

涅槃講式 初段 その一

≪ 原 文 ≫ 第一に入滅の哀傷(あいしょう)を顕すといっぱ、凡そ如来一代八十箇年、迦韋(かい)誕生 伽耶(がや)成道 鷲峰(じゅぶう)説法 双林入滅、皆大慈大悲より起り、悉く善巧(ぜんぎょう)方便より出でたり。 歓戚(かんしゃく)の化儀、区(まち…

涅槃講式 表白

≪ 原 文 ≫ (伽陀) 拘尸那城跋提河 在娑羅林双樹下 頭北面西右脇臥 弐月十五夜半滅 南無大恩教主釈迦牟尼如来生々世々値遇頂戴 敬って大恩教主釈迦牟尼如来、涅槃遺教八万聖教、娑羅林中五十二類 一々微塵毛端刹海 不可説不可説(ふかせっぷかせっ)の三宝…

「四座講式」現代語訳と解釈に際して

今回四座講式を現代語訳し解釈するにあたって、底本として大栗道栄師編の「四座講式」を用います。また大正新脩大蔵経テキストデータベースの「四座講式」を参考にします。 大栗師の『四座講式物語』を参考にしますが、師の訳はなるべく平易にわかりやすくつ…