四座講式と常楽会の組み立て

 さて、涅槃講式表白段をアップしましたが、「伽陀」とか表白段とかそもそも「四座」とは何か?について説明します。この際、四座講式をお唱えする法会「常楽会」(涅槃会ともいう)の次第(プログラム)を紹介します。尚、この次第はおそらく日本で唯一四座講式を毎年行じている高野山金剛峯寺の次第です。

先、奉請(大塔ノ鐘九下終ノ響ヲ受ケテ発音)
次、総礼伽陀
次、称名礼(南無大恩教主釈迦如来・南無護持遺法十六羅漢・南無双林提河人天大会)
次、伝供(四智梵語・心略梵語・金剛業讃)
次、祭文
次、涅槃講別礼伽陀
次、如来
次、散花
次、梵音
次、三条錫杖
次、仏名
次、涅槃講式 表 白(式師独唱)
  涅槃講式 初 段(式師独唱)
  讃歎伽陀 初 段
  涅槃講式 第二段(式師独唱)
  讃歎伽陀 第二段
  涅槃講式 第三段(式師独唱)
  讃歎伽陀 第三段
  涅槃講式 第四段(式師独唱)
  讃歎伽陀 第四段
  涅槃講式 第五段(式師独唱)
  讃歎伽陀 第五段
次、涅槃講和讃
次、釈迦念仏

|次、五悔
|次、五大願
|次、前讃(四智梵語・心略梵語・駄都讃)
|次、釈迦念仏(付行道)
|次、後讃(四智漢語・心略漢語・合殺・哭仏讃)

次、羅漢講別礼伽陀
(以下 羅漢講式五段・讃歎伽陀五段・和讃・釈迦念仏)

次、遺跡講別礼伽陀
     (以下 遺跡講式五段・讃歎伽陀五段・和讃・釈迦念仏)

次、舎利講別礼伽陀
     (以下 舎利講式三段・讃歎伽陀三段・和讃)
次、舎利讃嘆
次、舎利礼
次、奉送(二段)
次、称名礼(南無大恩教主釈迦如来・南無遺身舎利生々世々・南無自他法界同利益)

 この通り四座講式とは以下の四つのことです。
涅槃(ねはん)講式釈尊涅槃の様子を表す
羅漢(らかん)講式釈尊滅後に仏法流布に努めた十六羅漢を讃える
遺跡(ゆいせき)講式…インドに残る釈尊の遺跡と求法の高僧を讃える
舎利(しゃり)講式釈尊の舎利を讃えその奇瑞を表す

この四座を一日かけてお唱えするのですが、あまりにも長いので大多数のお寺では一年に一座ずつ、四年一回りで行うことが多いようです。

前回の涅槃講式表白段を見てもわかるように基本的にはどの講式も
別礼伽陀⇒称名(南無…世々知遇頂戴)⇒表白段⇒初段⇒讃歎伽陀⇒称名⇒第二段…と続いていきます。この「伽陀」とは韻文体の経文で漢詩のようになっています(ごくたまに和文)その段で述べたことの要約を詩にしています。この伽陀は式衆全員でお唱えします。
 別礼伽陀とは、最初に総礼伽陀を唱えているけれども各段の最初ごとにその段の功徳を讃えて唱えるので「別礼」といいます。

この高野山の常楽会の場合、密教の要素として涅槃講式と羅漢講式の間に導師が釈迦法(釈尊を本尊とする密教修法)を修することが特徴です。なお講式を独唱で唱える「式師」は、各段で違いそれぞれに格式が定められています。

今回は高野山金剛峯寺常楽会次第を見ることで四座講式の流れを案内しましたが、常楽会・涅槃会は様々な宗派で行われているのでそれぞれ見てみると違いがわかって興味深いです。(ただ四座講式は真言宗だけかなぁ…)