四座講式叢話

涅槃講和讃 その二

≪ 原 文 ・ 現代語訳 ≫ 僧伽梨衣を脱去て(ぬぎさけて) 釈尊が大衣を脱ぎ捨てて 紫磨の色身見せしより 紫金色の肉体をお見せになってから 三千界(さんぜんがい)の地(ぢ)の上に この三千世界の大地から 八十種好(しゅごう)かくれにき 八十の優れた特徴…

涅槃講和讃 その一

≪ 原 文 ・ 現代語訳 ≫ 如来化導事おへて 釈尊の一代八十年のお導きが終わってしまい 婆羅林樹に隠れしに サラ林にて入滅されてしまったので 衆生の明眼(みょうげん)消はてて 暗闇の私達を導いて下さる燈明が消えてしまい 長夜(じょうや)の闇ぞいと深き …

涅槃講式 表白・初段 校勘記

本日は四月八日。仏生会、俗に言う花まつりです。 このように大変な世相ではありますが、仏教徒としてお釈迦様の誕生を寿ぎたいと思います。 誰れか歓喜の咲(えみ)を藍園の誕生に含み、痛惜の涙を双林の入滅に流さんや。 これは涅槃講式表白段の一節です。…

三車火宅の譬え

四座講式には「火宅」という言葉がよく登場します。これは『法華経』の中でも一、二を争う有名な逸話「三車火宅の喩え」に由来します。私『法華経』には暗いもので難しい事はわかりませんが、この喩えは大好きです。 【火宅】(かたく) 煩悩と苦しみに満ち…

四座講式と常楽会の組み立て

さて、涅槃講式表白段をアップしましたが、「伽陀」とか表白段とかそもそも「四座」とは何か?について説明します。この際、四座講式をお唱えする法会「常楽会」(涅槃会ともいう)の次第(プログラム)を紹介します。尚、この次第はおそらく日本で唯一四座…

四座講式と明恵上人

四座講式とは鎌倉時代初め京都栂尾高山寺の明恵上人によって造られたお釈迦様の一代記です。 この講式に独特の節をつけて(声明)お唱えするのですが、これは謡曲・浄瑠璃・長唄の元になったものとされるほど優美な音動を持ちます。明恵上人は承安3年(1173…